2016年1月16日

セイルトレーニングとは? Part3「海と仲間とこれからも」

帰りの航海

今日も船は傾きながら波を切って進んでいきます。
思えばこの航海も残りあとわずか
最初は船酔いで動けなかった自分や仲間は今では自分たちだけで大きな帆の向きを変えたり、マストに登って畳みに行ったり、

夜の当番中では、空いている時間に波と星のきらめきをバックミュージックにしながら今までの人生のことや陸での生活のこと、いろんな話をいろんな人と交わしてきました。
ずっと船に乗っているという船乗りの大荒れの海の武勇伝は以前だったら想像もできなかったけど、今は容易に想像できます。
遭遇したくはないけれど

そういえば、ここにきて今まで回ってこなかった食事当番も回ってきました。
渡された材料を料理が得意な仲間のおかげでどうにか全員が食べられる食事にできました。

最終日の前日の朝、太陽が高く上りかけた頃に水平線の上にうっすらと緑色のラインのような陸が見えてきました。
すぐにみんなに伝えると、デッキは大騒ぎに!

上げていた帆の数も減らしていよいよ航海の終わりをひしひしと感じます。
船の下の方ではエンジンがボォオボォオと低い重低音を上げ始めました。

海から見ると港って随分おくばったところにあります。
ついに全部の帆を降ろしきり、日没の頃、船は陸のすぐ近くに錨を入れました。

海から陸へ繋がる時間

最後の夜の今日は全員でデッキ上でパーティです。
どこに積んでいたのかたくさんの飲み物やお酒や食事が出てきます。

この日はいつも以上に生まれも年も関係ない。
大事なのは同じ航海を乗り越えた仲間たちであるということ。

あった時からずっと、一緒に海で風に吹かれてきた仲間たちもここで一緒に美味しい食事をしていると、なんだか昔からの友達のようです。
なんとなくですが、特に同じ当番によく入った何人かの仲間とはこれからもずっと仲良くしていけるように感じました。

いつもは当番で変則的だった生活も終わり、たっぷり食べて飲んだ後は三々五々自分のベッドに帰っていきます。

船とのお別れ

最終日の朝、錨を上げた船はまっすぐと港の中へ向かっていきます。
高いビルの間に、どこか排気ガスの混じった匂いが漂っていることに気づく自分がいます。
最後は仲良くなった船乗りたちがプロの技で船を突堤にピタリと止めてくれました。

しばしの荷造り、初めは狭いと思ったベッドも航海の最後には自分の手の届くところにいろんな物をおいて、居心地抜群になっていました。

いざ別れの時、いつもの船の装いから陸の装いに変わった仲間に驚いていると、最後の挨拶が始まりました。
船長、乗組員の船乗りの笑いの絶えない挨拶が終わると、いよいよ船から降りる時間です。

街はまだ朝の雰囲気の午前11時、船で手を振る乗組員が見えなくなるまで手を振りながら街の方へ向かいます。
乗るときは一人だったけど、今はたくさんの仲間と駅に向かっています。

久々に手に取る携帯電話、街の騒音、いろんなものが今までと違って新鮮に見えてきます。

駅までくると仲間ともお別れに。新幹線や飛行機で遠くから来た人もいます。
連絡先を交換し、再会を誓ってしばしのお別れです。

日常に戻っても。。
あれから夏休みが終わって、私は学校に通う毎日を過ごしています。
この前の週末には隣の県に住む船で出会った仕事をしている仲間との再会も果たしました。

ある日の朝、船から一通の手紙が届きました。
乗組員のみんなは元気そうです。
また来週から船は航海に出るそうです。

そこでまたいろんな人が出会って成長していくんだと思うと、少しにやけます。
あ、学校に行かなくちゃ

家を出ると右頬に少しきつめに風が吹き付け、また海にタイムスリップ

それからいろんなことがありますが、あの海を乗り越えた自信で前より少しだけいろんなことにチャレンジできているように感じます。

おわーりー!


ここまで、少し長めの"セイルトレーニング"に参加するとこんな感じだよというのを物語風に書いてみました。
航海の内容はは船ごとに違うし天候によっても大きく左右されます。
途中港によることもあれば、一気に太平洋を横断する航海もあります。

一つひとつの航海に参加すればすごい物語が生まれるのです。
とは言っても、今の日本ではこのような航海を体験できる場所は多くありません。


それでも、"セイルトレーニング"に参加するのは海が大事な場所の一つになっていく近道です。
これから少しずつ、こういう航海に参加する道のりを紹介していきたいと思います。

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