2016年1月29日

船乗りたちの歌 "酔いどれ水夫"

力仕事が多い船で、ロープを引くときに歌う歌

帆船の時代に、水夫たちはたくさんのロープを引く仕事がありました。
そんな彼らは、力を合わせて同じタイミングでロープを引くために歌を作っていました。

そんな歌をSea Chanty(シー・シャンテ)と言います。
日本でいう、ソーラン節のような感じですね。
今日は、アイルランド人やイギリス人にとってのソーラン節のような1曲を紹介します。

この歌はメロディーも軽やかで覚えやすく、シー・シャンテの中でも有名な曲で、どこかで聞いたことがある方も多いとおもいます。
歌詞を見ていくと、普段は使わない言葉がたくさん出てきて、海の世界を垣間見るようです。

酔いどれ水夫 "Drunken Sailor"の歌詞

今では民謡のような曲で、歌詞にもいろんなパターンがありますが、The Irish Rovers(アイルラン人の放浪者という意味だそうです)が歌っている有名なバージョンの歌詞をかいつまんで見ていきましょう。

iTunesから試聴、ダウンロードができます。試聴したら聞いたことある!と思うかもしれません。



What will we do with a drunken sailor? ×3
酔いどれ水夫をどうしよう?
Early in the morning
朝早くから

ストーリーは朝になっても酔っ払っている水夫をどうしようかみんなで考えるというものです。
朝には夜の間たたんでいた帆を開くため、そんな時に歌われた歌です。
酔いどれ水夫をどうしよう?という問いかけにたくさんの水夫がアイデアをリズムに合わせて歌い上げていきます。

Way hey and up she raises ×3
ウェイヘイ、帆をあげろ
Early in the morning
朝早くから

Shave his belly with a rusty razor ×3
腹を錆び付いたカミソリで剃っちまえ
Early in the morning
朝早くから

最初のアイデアからいきなりキツイことをしてきます
海風に吹かれて錆び付いたカミソリでお腹を剃るなんて、考えたくもないですね

Put him in a long boat till he's sober ×3
酔いが醒めるまで、ロングボートに突っ込んでおけ
Early in the morning
朝早くから

ロングボートというのは、船に積んであるボート(落水者の救助や島に上陸するのに使いました。)の一つです。
ロングボートはその中でも大きめで現在ではカッターと呼ばれているようなものです。
役立たずは船の上で釣り上げてあるゆらゆら揺れるロングボートの見えないところに入れておけという、まあまあ優しい対応ですね

Stick him in the scupper with a hawsepipe on him ×3
水が流れるホースパイプの中に突っ込んでおけ
Early in the morning
朝早くから

冷たい水で目を覚まさせようというのでしょうか?
ちなみにホースパイプというのは、船の錨につながる鎖が通るパイプでそのまま船の外につながっています。
船に打ち込んだ水が流れるのはもちろんのこと一歩間違えば、海に落ちたり怪我をする可能性もあるというちょっと過激な意見です。

Put him in the bed with the captain's daughter ×3
船長の娘とベッドに入れておけ
Early in the morning
朝早くから

昔の船は男の世界と思われがちですが、船長は娘や妻を一緒に船に乗せている事もありました。
そんな船長の小さい娘のベッドに入っているどころか近づいたことさえバレたら、船長はどんな罰をするかわかりません。
酔っ払っていても本能で一番気づきそうなそんな工夫された方法ですね。

That's what we do with a drunken sailor ×3
酔いどれ水夫はそうしてやるよ
Early in the morning
朝早くから

Way hey and up she raises ×3
ウェイヘイ、帆をあげろ
Early in the morning
朝早くから

こうして、この歌を歌いながら毎日帆を上げていくのです。

ちなみに、この他にもいろんなアイデアがあるので幾つか紹介します。

Put him in the bilge and make him drink it
船の底の汚い水につけてやれ

bilge(ビルジ)というのは船の底に溜まった船の中で考え得る限り一番触りたくないような水です

Heave him by the leg with a running bowline
足をロープで括り付けて逆さに吊り上げてやれ

running bowline(ランニングボーライン)とは、結び方の一つで海でよく使うもやい結びではなく、ロープを引くと輪が小さく閉まる結び方(日本語で言う罠結びのようなもの)です。
猟師が輪の中に餌を入れて動物が入ったら、それを捕まえられるような結びですね。
これをされたらさすがに酔いどれ水夫も正気にかえるでしょう。

配信もされている曲でとても陽気なメロディーの曲なので、ぜひ聞いてみてください!


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